エキエル版(ナショナル・エディション)にみる、ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2の解説です。
第19,147小節【左手】
先行する小節と、より滑らかにつながる為、エキエル版はこれを採用したそうです。
第3小節と同じです。
パデレフスキ版もこれを採用しています。
第27~28,29~30小節【右手】
3通りのタイの組み合わせが残っており、エキエル版はそれを提示
初版にタイはないが、それ以前のスケッチなどには、あったりなかったり、書いたけど消した跡があったり、ショパンが逡巡していたことを示している。
弟子の楽譜には鉛筆でタイが書かれていて、ミクリ版にもタイがある為、パデレフスキ版はタイありを採用しています。
第42小節【左手】
パデレフスキ版はこれを採用しています。
エキエル版の解説によると、いくつかの理由により3つの音からなる和音がショパンの意図したものであるかどうか疑わしいそうです。もちろん解説にはその理由が詳しく説明されていますが、ここでは割愛させていただきます。
詳しく知りたい方は、
下は、上記の内容を音で比較した動画です。
第81~82小節【右手】
フランス版とイギリス版にはなく、最終ヴァージョンの自筆譜とドイツ版にはある。
エキエル版もパデレフスキ版もタイありを採用しています。
第66~67, 70~71, 76~77, 92~93小節【右手】
これらの小節にまたがるタイ
フランス版とイギリス版、及び弟子の楽譜にはなく、ドイツ版にはあり、別の弟子の楽譜にはショパンみずから書き込んでいる。
パデレフスキ版はタイありを採用、エキエル版では、2人の弟子たちの楽譜からショパンは両方の可能性を許容していたのでは、と、ヴァリアントとして提示しています。
なお、
第75~76, 91~92小節【右手】の小節にまたがるタイはドイツ版だけにあり、パデレフスキ版は採用しエキエル版は採用していません。
そして、
第87~88小節【左手】の小節にまたがるタイもエキエル版は採用していません。
下は、上記の小節にまたがるタイ(第81~82小節【右手】以外)を全て無くして演奏した動画です
コメント